「はやぶさ」の技術者である矢野さんのお話を聞く機会があった。
矢野さんは、はやぶさのサンプル回収を担当し、
科学チームメンバーであり運用スーパーバイザーを勤めた方。
立食パーティー内の講演だったからそういう雰囲気じゃなかったのだけど、
メモをとりながら聞きたかったなと思うようなlearningの多いお話だった。
そして、ロマンに溢れていた。
熱い想いと想いを叶える誠実さに感動。
印象的だったことを思い出してみる。
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◆矢野さんの専門は「「ウチュウジン」、あなたも触れたことがあります」
「え?」と思いましたよ、ウチュウジンと聞いたとき。
ご専門のウチュウジンは、宇宙人ではなく、宇宙塵。
宇宙には塵がいーっぱいで、今までに私たちも触れたことがあるらしい。
小さすぎたりして気がついていないだけなんだって。
「四半世紀生きていれば、触れたことがあるはずです。」
とまっすぐに言われると宇宙がぐっと身近に感じる。
その宇宙塵がくっついてできたのがはやぶさの目的地、イトカワ。
◆イトカワはJAXAではラッコと呼ばれる
2つの塊がくっついてできたイトカワは、ラッコみたいな形。
こちらのページにばっちりラッコ姿が映ってる。
科学者の第一線を行く人というと、真面目で研究に没頭して
洒落とか言わないのかなと思っていたらユーモラス。
JAXA内で「ラッコ」と呼ばれているなんてチャーミングな惑星。
◆はやぶさ開発から運用まで、180億円
もっとずっとかかると思っていた。
15年かけて180億円。
この会の主催者が「銀行口座教えて」と言っていたけれども、
寄付金募ったらというその提案に納得。
技術者の志に、そしてこの価値ある研究に寄附する人はいるだろうし、
はやぶさの運用額を聞くと現実身のある話ではないかとさえ思えた。
寄付だけで宇宙事業を行うのは良くないと思うけれども、裾野を広げる活動とかに生かせるかもしれない。
なお、日本の宇宙関連予算はアメリカの10%ほどだそう。
力の入れ方の違いが顕著。
◆チームの結束と同じ想いを強く持つことの強さ
はやぶさは、2007年に日本に帰ってくる予定だったのだけど、
帰ることができずに3年後の2010年に満身創痍で帰ってきた。
これは奇跡的とも言える帰還だった。
このことに対して
「2007年に帰せなかったとき、JAXAでは諦めたり、去る人はいなかったのか。」
という参加者からの質問があった。これは私も気になるところだった。
2007年に回収できなかった時にも、モチベーションを維持したのは
日本の代表であることへの誇りと、成功への想いを共有できていたからだという。
そしてはやぶさの移動は、自動ではないので運転し続けなければならなく、
かつブレーキアクセルの壊れかけた車をなんとか運転しているような状態なので
やることは多くて忙しく、落ち込んでいる場合ではなかったというのもあったらしい。
そんな困難な中でも、まとまりをみせられるチームってどんななのだろう。
矢野さんがお話していた中であった、
「この成功が次につながると思った」という将来への希望をなんとしてでも繋げたいという想い、
メンバーそれぞれの持つ成功への想いが強かったのではないかと私は思う。
矢野さんのJAXAに寄せているメッセージにある
「あの日の約束を、石にかじりついても果たそうと誓っている」という言葉の強さに衝撃を受けた。
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今回私は友人の縁でこの会参加することができたのだけれども、
ここで人の縁の大切さを改めて感じた。
はやぶさをエンジン故障から救ったのも、先輩後輩の仲で他社と作った仕組みのおかげらしい。
先輩後輩、友人、お会いしたことのある方、不思議とどこかでつながるものだと思う。
今回異業種交流会というものに参加して、矢野さんのお話を聞くことができたのだけれども、
そこでも「お世話になってます」と声をかけてくださる方がいてびっくり。
こちらがお世話になっているのだけれども、その方が実は大学の先輩だとその場で判明して
二重にびっくり。
人生悩み続けながらも、
人の縁を大切にすることだけは常に心がけたいし、自然とそうできるようでありたいなと思う。
月面着陸50周年の今年、印象的なお話を聞くことができた。
今回のご縁にも感謝!
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自分へのメモに、印象に残ったキーワードを。
◆あらゆる可能性を想定する
◆ハイリスクハイリターンとはやぶさを説明されたが、
ハイリスクなものが成功するように数打つ方法もある(会の主催の方より)

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